“永遠の17歳”こと声優の井上喜久子さん。
30年を超えるキャリアの中でも、彼女が特に驚きを感じた「思い出の役」を紹介。
オーディションの際、資料を見て思わず「二度見」してしまった役とは?

ゲーム『サクラ大戦3〜巴里は燃えているか〜』のロベリア役は大きな経験でした。あの役は決め打ちのオーディションのような形で決まったんです。
巴里華撃団花組の5人として、日のり子さん、鷹森淑乃さん、島津冴子さん、小桜エツコちゃん、私が呼ばれて、声を聴いてバランスを見るということでした。

そこで頂いた資料でロベリアの画と設定を見て、ビックリしたのを覚えています。

「巴里始まって以来の大悪党。懲役1000年」と書いてあって。二度見して「この役、私がやるんですか?」みたいな(笑)。

後からプロデューサーの広井王子さんにうかがったら、「一人くらい変わり種を入れたかった」というのと、私が出た外画をご覧になってシリアスな声で大人っぽい役をやっていたらしくて。それで「行けるんじゃないか」となった、というお話でした。

今まであまり出したことのないトーンのお芝居は、すごく難しくて悩みました。最初はかなりダメ出しもされて。「ロベリアはこういう人だから、感情はこう出して」とか「そこは力を抜いてクールに」とか、細かいところを丁寧に録っていただきました。いろいろ学べてありがたかったですし、やりがいもありました。