バク:たとえば、普通の人はハゲを見たときに「ハゲだ!」って言わないですよね。取引先の会社の社長さんがハゲだったとしても「うわ、ハゲだ!」って言わないじゃないですか。

──言わないですね(笑)。

バク:思っても言わないですよね。でも、発達障害の人はハゲを見たら「あっ、ハゲだ!」って言っちゃうんですよ。

バク:どちらも衝動性があるので、思いついたことを瞬間的にやってしまうのは一緒ですね。

 ただ、アスペルガーとADHDの違いは、「ハゲだ」と言ってしまったあとの反応です。
アスペルガーは共感性が低い傾向にあるため、他人の感情に寄り添ったり、「こんなことを言ったら相手が傷ついちゃうだろうな」と感じ取ったりするのが苦手なんです。

 だから、「おい、取引先に何失礼なこと言ってるんだ!」と怒られても、「えっ、でもあの人、ハゲてますよね?」「ハゲの人にハゲって言って何が悪いんですか?」とか言っちゃうんですよ。

──なるほど……!

バク:でも、ADHDの場合は、衝動性があるだけで共感力はまあまああるので、「ハゲにハゲって言ってもうたあ~~~!」とすっごい落ち込むんですよ。

──それは辛いですね……。

バク:で、パニックを起こして、慌ててしまって「ああっ、すみません……! 気にしているはずなのにハゲとか言ってしまって本当に申し訳ありません……!」みたいに、さらに畳み掛けてしまったりします。

 言っちゃいけないとわかっているのにやらかしてしまって、そのあとでなんであんなこと言っちゃったんだろうと落ち込む。ADHDが感じる「生きづらさ」はこういうところにあるんですよね。