6月末に来日したアナスタシアさん(仮名、40代)は、ウクライナ南部の同郷の友人とともに地方で避難生活を送った。場所は、身元保証人の吉本さん(仮名、60代)が経営する小さなホテルだった。ところがオレーナさんと同じく、来日直後から報道陣に押しかけられ、戸惑った。

「取材については事前に知らされていませんでした。翌日も朝から『インタビューだよ』と起こされ、気分が乗りませんでした。保証人は単に注目を浴びるために、私たちを広告塔として利用したのです」

 ある時、吉本さんからこう怒鳴り散らされた。

「お金をたくさん使って支援をしているのだから、俺の言うことを聞け!」

 これ以上の滞在は危険と判断したアナスタシアさんたちは、出入国在留管理庁などに支援を求め、遠く離れたビジネスホテルへ「避難」した。吉本さんのもとに滞在したのはわずか1週間だった。

 吉本さんは、暴言を吐いた事実は認めたものの、こう主張する。

「寄付者の善意を断ろうとしたので、つい強く言ってしまいました。それに私は彼女たちの渡航費やビザ代、国内の交通費、ホテル代など総額100万円近くを負担していました」

 日本財団は渡航費支援を実施しているが、避難民がいない今、必要書類を提出できないため、支給はされそうもない。自治体にも掛け合ったが支給は断られ、全額自己負担になった。あまりのあっけない幕切れに、憤りを隠せない。

「これまでやってきたことは何だったんだろう」

 アナスタシアさんはその後、元いた自治体から支援金25万円を受け取り、日本語を勉強しながらホテルに無料で宿泊している。

「ホテルから出されるお弁当も飽きてきました。働くこともできないし、散歩して暇を持て余しています。そろそろウクライナに帰りたいです」

 群馬県では5月、ウクライナ避難民の親子が身元保証人の滞在先から失踪した。関西地方でも8月末、やはり身元保証人とのトラブルから3人が帰国しており、来日した避難民のその後は明暗が分かれている。

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