身長172センチと小柄ながら、爆発的なパワーとスピードを発揮する左打者は、異色の経歴の持ち主だ。栃木・清原中では陸上部に所属。短距離選手として実力を伸ばし、3年時には400メートルで全国優勝を果たした。栃木県内屈指の進学校である宇都宮高では、小学生時代にやっていた野球に打ち込んだ。

現役で東大経済学部 に合格。「神宮で勝ちたい」と〝学生野球の聖地〟に憧れを抱いていたものの、野球部には入らなかった。入学時は体重が60キロ。高校で使用する金属バットよりも芯が狭い木製バットで飛ばすだけのパワーに自信が持てなかったため、アメリカンフットボール部に入部した。50メートル走6秒1の快足を生かし、パスを受けて走るランニングバック(RB)を務めた。

アメリカンフットボール挑戦が大きな転機となった。ウエートトレーニングと1日7食をとる〝食トレ〟を行い、1年半で体重が15キロ増加した。体力に自信が持てるようになり、2年時の8月に野球部に転部。アメリカンフットボールで培ったスピードとパワーを最大限に発揮し、3年春にレギュラーに定着した。

今夏は例年以上にバットを振り込み、「実戦の中で逆方向に強い打球を打てるようになってきた」とミート力がアップ。ライバルに一矢報いる結果を残している。
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東大の阿久津