川田 あくまで僕のイメージですが、例えるなら、日本の馬は陸上でいう短距離選手。スプリンターは100mの選手、2400mを走る馬は400mの選手というイメージです。でも、ヨーロッパの2400mを走る馬は、人間でいうと5000mくらいを走る選手なのかなと。それくらい求められる能力が違うことで、身体つきも筋肉の種類も違うような印象があります。

 ディープインパクト産駒のスノーフォールがイギリスオークスで圧倒的な走りを見せたことを思えば、日本生産馬が適さないというわけではなく、日本で強い競馬ができるように馬を作ると、向こうには適合しづらい馬になるということだと思います。まぁオルフェーヴルのような、10年、あるいは20年に1頭出るか出ないかの怪物であれば話は別ですけどね。

 だから、一番の近道は、向こうに適した馬を作ることだとは思うんですが、まずは日本のGIを勝てる馬に育てて、さらに実際に強い勝ち方をしないと、凱旋門賞に行こうとはならない。そう考えると、現実的にはとても難しいチャレンジだなと思います。

──それでも、日本のホースマンは凱旋門賞を目指す。

川田 そう、目指すんです。僕も目指します。なぜなら、まだ日本馬が、日本人が勝っていないから。世界的に見れば、もっと日本馬に適したレースはいくつもありますし、賞金だけでいえば、もっと高額なレースもあります。

 でも、日本の競馬界として、ヨーロッパの頂点である凱旋門賞にチャレンジし続けるというのは、そこで日本調教馬を勝たせたい、勝たせなければならないという使命感があるから。誰も勝っていないからこそ、勝ちたい。チャレンジをやめない理由は、その一点に尽きると思いますよ。


っぱしょうがよ