エピファネイアの話おもしれーわ

【菊花賞】桁違いのパワー制御して取ったエピファネイア念願のG1初制覇「調教怖かった」

母は05年にオークスとアメリカンオークスを制した名牝シーザリオ。母子2代にわたって担当した鈴木裕幸助手(45=現小林真也厩舎)は桁違いの馬力に手を焼いていた。「馬房内で動きを制限する太いゴムを何度も引きちぎった。調教でも、まったく抑えられない。あれほどパワーのある馬は他に知りません」。

調教に乗ることが多かった辻野泰之助手(41=現調教師)は「電柱を引っ張っているようだった」と振り返る。「力が強いし気も強い。調教に乗るのが怖かった。これまでそんな馬はあの馬だけです」。鈴木助手、辻野助手が異口同音に話すのが「人間の無力さを感じた」という意味のこと。福永騎手は乗りこなすために、肉体改造を行ったほどだ。

この菊花賞後もエピファネイアは一進一退を繰り返した。「僕らは手からこぼれる砂を、なんとかすくい上げるようなことを繰り返していた」と鈴木助手は怪物のような馬と向き合った日々を表現する。生涯最高のパフォーマンスは、強豪のジャスタウェイを4馬身ちぎった14年のジャパンC。今はその身体能力を産駒に伝えている。