やばすぎ


陽が落ちかけた高松商のグラウンド。後輩たちのシートバッティングを眺めていた浅野は、おもむろにキャッチャーの防具を身につけるとグラウンドの脇にあるブルペンに向かった。手にはキャッチャーミット。どっしりとした構えで、新チームの2年生投手のピッチングを受け始めた。

「浅野がプロに入ったら僕はキャッチャーがオススメなんですよ。いいんですよ、反応が。反射神経がいいし、肩も強い」

 そう話すのは長尾健司監督だ。浅野は高松市立屋島中学校まではキャッチャーだった。高松商入学後、その人並外れたバッティングを伸ばすために長尾監督が野手に専念させた経緯がある。指揮官は続ける。

「本当に鍛えれば12球団No.1のキャッチャーになれると真剣に思っていますよ。(元巨人の)阿部慎之助以来の“打てるキャッチャー”にね。球団で必要とするなら浅野のキャッチャーはありですよ。筋がいい。ただリードはできないから、そこだけ鍛えていただければね」