なお船の末路

翌建保5年4月17日。

船は完成し、由比ヶ浜に浮かべることとなりました。
数百人の人夫が招集されました。

実朝も由比ヶ浜に来ました。北条義時もいました。
陳和卿が音頭を取ります。

「引けーーーーっ!!」

えーんやこら、えーんやこら、

しかし、船はびくともしませんでした。

「もっと、引けーーーーっ!!」

えーんやこら、えーんやこら、

「そら引けーーーー!!」

えーんやこら、えーんやこら、

4時間、人夫たちが肌を真っ赤にして引っ張りましたが、
船は少しも動きませんでした。

「そんな、ああ…ああ…」

実朝はがっくりと肩を落とし、御所に戻っていきました。

船は砂浜で、空しく朽ち果てました。