中村の家族観として筆者が忘れられないのは、彼が日本中を騒がせていた5年前の甲子園期間中の一言だ。
準々決勝までに5本塁打を放って時の人となっていた中村に対し、小学生が写真を求めて近づいた。
すると中村はその小学生を抱きかかえると「お前らも甲子園に来いよ」と声をかけた。
そして振り返って筆者にこう言った。

「子どもがめっちゃ好きなんです」  

純真無垢なその笑顔に偽りはなかっただろう。

しかし、5年の月日が経過して聞こえてきたのは、親密な関係になった女性に対して堕胎を強要したという不誠実な対応だった――。