監督はアニメーション映像の声の収録は初めてなので、表情がないキャラクターの声を想像で補完して演出するのは困難を極めると思いました。監督は声優さんを選出するのに“演技の質”より先に、その人が自然に日常話す時の“声の質”にこだわっておられたので、私としてはオーディションはできるだけフラットに、幅広い選択肢の中から自由に探求させてあげたかった。1本の映画としての井上監督作品を作りたい。その思いから今回はテレビシリーズのキャストに固着しない選択肢で探すことにしました。それが私のこれまでの道のりから導き出した答えです。その後、パイロット版制作でも関わりのあったテレビシリーズの一部のキャストの皆様、そして、他のキャストの皆様方にも私の答えを説明して回りました。企画のこれまでの経緯。本作プロデューサーとしての思い。漫画、テレビシリーズ、そして今回の一本の映画、それぞれに完成し命を宿した作品として、これから先もずっと愛され、語り継がれていくべき『SLAM DUNK』だと思っていることなど、私の思いのすべてをお話ししました。本作の歩みを進めることへエールをお送りいただけたキャスト、所属事務所の方々には感謝しかありません。