中東初の開催となるカタールでのサッカーワールドカップ(W杯)の開幕を前に、パブリックビューイング(PV)を実施しないと宣言する都市が欧州で相次いでいる。大会に関連する施設の建設に携わった外国人労働者らへの人権侵害に抗議するためだ。カタール側は人権侵害を否定しているが、出場国のチームの中には大会中に抗議の意思を示そうとする動きもある。

 1次リーグ第3戦で日本と対戦する欧州の強豪国スペインでは10月28日、第2の都市バルセロナのコラウ市長が公共施設などでスペイン代表の試合を観戦するためのPVを実施しないと議会で表明した。

 スペインのEFE通信によると、コラウ市長は「民主主義的価値や平和、人権を高める世界的スポーツイベントが独裁国家で実施されるのは間違いだ」と発言。今回のW杯のために税金や公共施設を使うことは「人権を侵害する国の共犯者になる」とカタールでのW杯開催に強い異議を唱えた。

 前回優勝国のフランスでは、開幕が約1カ月後に迫った10月ごろから、主要な都市が次々と公共の場でフランス代表の試合を中継しないと宣言し始めた。

 AFP通信によると、パリを始め、南部マルセイユやストラスブール、リヨンなど少なくとも10都市がPVの「ボイコット」を決めている。左派の政治家が首長を務める都市が多いが、中には右派が首長を務める都市もある。

 ドイツでもケルンなど一部の都市で試合中継を取りやめる動きが出ている。