予想外の決断だった。

 4日、ロッテが中村奨吾(30)と田村龍弘(28)がFA宣言をせずチームに残留をすることを発表。特に田村は「FA市場の目玉」といわれ、行使は確実と思われていただけに、予想外の結末だった。

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 捕手はどこの球団も欲しがる「人気商品」。FA市場に出回れば、たちまち争奪戦となる。

「経験豊富な田村は他球団からの人気が高く、獲得に乗り出す球団は少なくなかったはず。中でも阪神が熱心に調査を続けていて、FA権を行使すれば、獲得に本腰を入れていたといわれていた」(球界関係者)

 田村は2016年にベストナインを獲得し、19年までは正捕手として5年連続で100試合以上に出場した実力者。しかし、今季の出場試合はわずか2試合にとどまり、高卒ルーキーの松川虎生(19)に出場機会を奪われた。8月の新型コロナウイルス感染によるコンディション不良もあったが、首脳陣との不和も出場機会激減の原因のひとつだったという。

「今年は二軍暮らしが長く、2番手でも加藤が起用されるなど、田村は明らかに干されていた。その潮目が変わったのは、今オフの体制一新です。井口監督を筆頭に計8人の首脳陣が退任。その中には田村を冷遇するコーチもいた。一方で、投手陣からの信頼は厚く、慕われる存在でもあった。首脳陣が一新されたことで残留を決めたのではないか」(前出の球界関係者)

 田村不在の今年、チームは5位に低迷し、失点(536)と捕逸数(14)はリーグワースト。守備力改善の期待がかかる。心機一転、チームの柱に返り咲くことができるか。