この実況すき


「ドーハの悲劇でアジアの列強とのわずかな差を痛感し、
フランスのピッチで世界とはまだ距離があることを実感し、
自国開催の熱狂で世界と互角に渡れると錯覚し、
ドイツで味わった痛烈な敗北感―。

私たちは4年ごとに世界と向き合い、
悔しさも喜びも糧にしながら、
右肩上がりに邁進してきました。

しかし、誤解を恐れずに言えば、
この数年の日本サッカー界と代表チームには、
幾ばくかの閉塞感が漂っています。

おそらく、今の閉塞感を打破する特効薬などありませんが、
それでもなお、これからピッチに立つ彼らが、
今できる最大限のことはあると信じます。

表面的に『一丸となって戦おう』と声を掛け合うよりも、
Jリーグの舞台で最も輝いている自分を存分に発揮してほしいと思います。

肩に力を入れて『世界を驚かしてやる』と宣言するよりも、
Jリーグで輝き、だからこそ海外のクラブが投資しようと感じた自分の魅力を
100%出し尽くしてほしいと思います。
それがすなわち一丸であり、それがすなわち全力です。

2010FIFAワールドカップ南アフリカ。グループEの初戦。
日本にとっての4回目のW杯。
相手は『不屈のライオン』の異名をとる“アフリカの雄”、カメルーンです」