僕らは上や横から競馬を見ているので、各馬の位置関係がわかる。時計も見ているのでペースも把握しています。でも、それは騎手の視点とは全く違うもの。サッカーと一緒ですよね。斜め上からの映像で見れば、どこにスペースがあって、誰がフリーなのかは一目瞭然ですが、実際にプレーしている選手の視点はそうではない。このレースもそうでした。ブエナビスタだけでなく、他の馬の多くの騎手も離して逃げる2頭の存在に気がつかなかったといいます。
 ならば、前が見える3番手の騎手が追いかける役をするべきだった? この日のレース後、こんな声があったそうですよ。
「誰も死に役にはなりたくないから仕方がない」
 GⅠという晴れの舞台で自らのペースを乱し、後続の援護射撃をするような役目を誰がするというのか? そういうことです。

ジャックドール陣営も納得