>>890
一応こういう理屈らしい

国連はなぜこの拒否権をなくしてしまわないのでしょう? 国連事務次長として長年多くの国際問題に直接かかわってきた明石康さんは、拒否権を国連の「安全弁」と表現しています。拒否権がなくなった国連を想像してみましょう。その場合、紛争などが起きると、安全保障理事会または総会の三分の二の多数決によって国連の制裁措置が可能となります。そうなると、核兵器を持つ大国を相手に国連が軍事行動をとる可能性も出てきますね。このような場合、平和と安全を維持するどころか人類の存続が危ぶまれる世界戦争の危険すら生じてしまいます。「安全弁」の表現は、このような文脈で使われています。また、「ソフトパワー」という言葉を最初に使ったアメリカの国際政治学者ジョセフ・ナイは、拒否権を国連の「ヒューズ(ブレーカー)」と表現しました。「家(世界)が全焼するより、ヒューズがとぶ(拒否権の発動で安全保障理事会がマヒする)方がまし」というわけです。