4度目の訪問の翌日(11月2日)午前10時30分。私は警視庁担当の記者として、霞が関の記者クラブで午前11時半からのニュースに向けて電話取材をしていた。
すると、知らない番号から携帯に着信があった。私は取材をしていたため、出ることができなかったが、15分後にその番号に折り返した。

「(もしもし)はい」「(TBSの樋口ですが)あー村田です」とても穏やかな声だった。まさか、こんなに早く返事をもらえるとは思わず驚いた。

「さっき家に帰ってきて手紙読んだよ」「私は人を殴ったこともない。嘘は言わないよ」「有難いことに友人たちもそんなこと(暴行)はしないと言ってくれている」
「事件当時は、気が付いたらまわりに10人くらいの警備員がいて、私を認めさせようとしてきた。10人で言われたら認めたくなるよ」

多くの警備員が周りを取り囲み、その後警察官に逮捕されたという。さらに、私が大学時代に野球部員だったことを知った村田さんは、話を野球に置き換えて話し続けた。

「野球をやっていたということだから分かると思うけど、感情的になったらいい成績は残せないよ」「私もこういう性格で正義感を大切にしてきたんだよ」「23年間ロッテで野球をやり、労働組合で課題にも取り組んできた」
「野球は情熱的になれて、決断力も身について、人材育成の場所としていいんだよ」電話口からも野球への愛が伝わってきた。そして、次に出てきたのは、背中を見せてきた子どもたちへの謝罪の言葉。

「触ったのが暴力だというのは、見解の違い」「子どもたちに希望をもって勇気を、と言ってきた立場なので、逮捕という形になって、子どもたちに迷惑をかけた。申し訳ないよ」
「樋口さんは、社会部にいるということだから真相を明らかにできると思う。色々話せるときになったら必ず連絡するから。信用してほしい」