これ辛いで


長年、障害に気づかず、生きづらさを抱えてきた中高年の人たち。仙台市で1人暮らしをしている及川奈穂さん(56)です。料理などの家事は、すべて自分でこなしています。しかし、他人からは分かりにくい生きづらさを抱え続けてきました。
特に苦労するのが、買い物や仕事などで素早い計算を求められる場面です。

及川奈穂さん
「早さを求められると、どうしてもできないので、(時間が)かかるんですよ。」

及川さんが周囲との違いに最初に気づいたのは、小学生のとき。算数が苦手で、授業に追いつけなくなりました。そのため、障害がある子どもたちのクラスに入ることになった及川さん。しかし、周りに比べると学習に支障がなく、担任からは努力不足だと叱責されました。そのため、すぐに通常のクラスに戻されることになったというのです。

及川奈穂さん
「普通にできることもあって、怠けているからそういうふうになると見られがち。なんで怒られなきゃいけないのかなとか、悲しくなったこともあった。」

努力しても勉強が思うようにできないつらさを抱えながら、通常の教育を受けて進学していった及川さん。専門学校を卒業後、社会に出ると、さらに苦労することが増えました。パン屋で働いていたときのこと。何度教えられても、商品を決められた場所に並べることができません。カタカナの多いパンの名前を覚えられないことが原因でした。周囲からの冷たい視線に耐えられず、退職を余儀なくされました。

どの仕事も長続きせず、10回以上、転職を繰り返した及川さん。その後、うつ状態になり、働く気力も失われていきました。
生活が困窮する中、及川さんは働けない原因を知りたいと、病院や行政の窓口に通い続けました。そこで受けたアドバイスをきっかけに、ことし(2020年)、知能検査を受けることになったのです。結果は、IQ64。50代半ばにして初めて、軽度知的障害に該当することが分かりました。

https://i.imgur.com/f7LhhXa.jpg