災害時に携帯電話のメールなどを使い、一括して学生の安否確認や
ボランティアへの呼びかけができるシステムを、神戸学院大(神戸市西区)の学生が検討している。
詳細を詰め、十二月十五日に学内で開くシンポジウムで大学に実現を働き掛ける。
大学周辺の危険個所などを示すハザードマップづくりも進めており、
「災害時の危機管理で全国の大学のモデルになれば」と意気込む。(溝田幸弘)

同大が「大震災―その時大学は―」という統一テーマで実施する震災十年事業の学生実行委員で、
法学部三年の中川書紀(しよき)さん(22)らを中心に進めている。

震災の教訓を生かそうと、年末年始にシンポジウムなど五つの催しを企画。
準備に追われる傍ら、アイデアの具体化に向けて議論を重ねている。

危機管理システムは、災害発生直後に安否確認のメールを一斉送信、無事だった学生に、
助けを必要とする地域などのボランティア情報を送る。
既に休講情報などを携帯メールに配信するシステムが稼働中で、その応用を検討している。

ハザードマップは大学周辺を学生十数人が実際に歩き、倒壊の恐れがある建造物などをチェック、
避難施設までの安全経路を調べる。今月中には調査を終えるという。

人文学部四年の安福重人さん(58)は震災時、「社会の役に立ちたい」と多くの若者が言うのを聞いた。
「初動時は一番人手が必要な段階。ネットワークを活用できれば」とシステムに期待を込める。
同四年の壱東(いつとう)篤さん(22)は、神戸市長田区にあった祖母の家が半壊、
いとこの家が全焼した。「あのとき、僕は何もできなかった」と振り返り、ハザードマップで
「留学生や一人暮らしの新入生が困らないように」と願う。

人文学部の前林清和教授は「災害発生時、大学にどんなことができるか。
全国的なモデルになることを目指したい」と話している。

http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou04/1116ke61230.html