ちなトイレは檀家のおばあちゃんからの寄付なもよう

 実はこのトイレ、2007年に檀家の高齢女性からの高額な寄付で建てられたものでした。

 「それまではずっと水洗ではない、昔ながらのトイレでした。古いトイレとはいえ、お寺には参拝しない、見ず知らずのハイカーの人たちに汚されることに、檀家さんであるおばあちゃんは心を痛めておられました。それできれいなトイレを寄進しますと申し出てくださいました。『トイレを新しくしたら、汚くはしないでしょう』と。弘法大師の言葉を短冊に書き入れ、トイレの壁面に飾り、『布教もできるトイレ』として完成しました」

 美しくモダンなトイレは2010年、第5回西宮市都市景観賞まちなみ建築部門を受賞。西宮市のホームページには受賞理由について「寺院境内の一隅に建つこの建物は、小規模ながら和と洋のデザイン要素を巧みに取り入れて静かで落ち着いた雰囲気を醸し出し、境内や周囲の山々の緑ともよく調和しています。また、参詣者だけでなくハイカーなど一般の人々にも利用できるよう配慮されています」と説明があります。