ベルサイユ宮殿のトイレ事情

ルイ13世が、家族と過ごすための狩猟小屋として作られたベルサイユ宮殿は、
その後1620年代に王の威信を示すために華美で複合的な施設となり、裁判所を含めると数千人が生活する場となったにもかかわらず、
ほとんどトイレがなかった。そのため、使用人たちは木立や生垣に隠れて用を足し、王族の高貴な方々は廊下の隅をトイレとして利用し、
廊下はそのために汚れてとても臭かったという。し尿で汚れたドレスの裾をダラダラと引きずって、歩きながら排泄する女性もいたという記載もある

13世紀のフランス王ルイ九世が夜明け前に教会に向かう途上、都市に住む学生が窓から捨てた汚水をかぶってしまったという逸話が残っているくらい、
ヨーロッパの各都市におけるトイレ事情はお粗末だった。