>刑務官に車椅子を押されて面会室に入ってきた幸三は、拘置所の頃よりは幾分か、顔色がいいように感じられた。

>アクリル板を挟んでの会話だが、耳に不自由もないようだった。

>「毎日、日が昇るたびに、亡くなった方々のご冥福を祈っています」

>自宅にいる時と変わらず、はじめに遺族と被害者への謝意を述べた。

>幸三は禁固刑なので作業はなく、読書をしたりしている様子だった。

>「高齢受刑者の方々ともお会いしますが、皆さん、私よりずっと若い」

>幸三はそう言って笑顔を見せた。確かにそうだろう。90歳での入所は日本ではじめてのケースに違いない。

毎日遺族へ冥福祈ってるから許してやれ