評判の悪い第3話
説明不足な謎解き描写を筆頭に、何かと粗や強引な部分が多い。
『逆転裁判』は個々の謎を検証していくゲームなので、全体のトリックに粗があってもゲームを進めること自体は可能である(*15)。しかしこの第3話は謎解きの粗さだけでなく、ゲームのコンセプトを否定するシナリオも問題視されている。
なお評価点で後述する通り、その部分さえ気にしなければ見どころもいくつかある。
+ 詳細(ネタバレ注意)
トリックについて
特に指摘されるのは凶器の矛盾。凶器は素人が撃てば肩を痛めるほど反動が大きい大型拳銃である。とても小柄な被告人に扱えそうなものではない。
劇中ではこの点を全く議論できず(*16)、プレイヤーは違和感を抱いたままゲームを進める事になる。
凶器の問題を抜きにしても、本エピソードの事件現場は十分な説明がなされず、何か起きていたのかが曖昧である。回想シーンの類も一切無い。
どういう形で被害者が目撃者を見たのか、真犯人と被害者の位置関係はどうなっていたのかなど、状況が込み入っているにもかかわらず劇中ではほとんど説明されない。仮に辻褄を合わせても、少々無理のある状況になってしまう。
シナリオについて
問題は2日目の探偵パート。ここで被告人は、別の国で死刑になるレベルの重罪を犯していたことが発覚する。
これに対してフォローの類は殆ど無く、感情移入できる動機や同情できる背景は一切描かれない。だが物語は彼を救う前提で話が進み、最終的には日本の法律で裁かれる事により死刑を免れる事になる。
この他にも、何かと不評な点が多い。
途中、事件に大きく関係するライブのシーンが何度も流れるのだが、飛ばせないのでテンポが悪い。
本エピソードの証人・ラミロアは不必要なウソをついて真相究明を回りくどくしており、その件に関して謝罪する描写も十分に描かれていないことから、一部のプレイヤーからヘイトを買う羽目に(*17)。
本エピソードの響也は、人の死よりも自身の音楽活動を優先する非常識な態度を取り、しまいには不祥事レベルの大失態を犯して大きく株を落としてしまう。不祥事の詳細は賛否両論点で後述。
その他に(致命的なミスとまでは行かないものの)、真犯人が犯行時刻を誤認させるために死体を遠距離移動させている件について、リスクがありすぎて「無理があるのでは?」という意見もある。