1か月に及ぶFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会は、出場する選手にとっても報道陣にとっても長丁場です。そんな長期滞在中の楽しみの一つは食事。
しかし、イスラム教国のカタールでは豚肉がご法度です。

豚肉や豚製品の持ち込みは禁じられており、在カタール日本大使館によると、空港で見つかれば、没収されたり、身柄を拘束されたりする可能性もあるとのこと。
それゆえ出場各国は今回、滞在先の宿舎で、豚肉なしの食事を選手やスタッフへ提供しています。

例えば、シェフの西芳照さんが同行している日本代表は試合後の恒例メニュー、カレーライスの具材を変更しました。W杯同行5度目となる西さんによると、「これまでで一番、好評だったのはポークカレー」だそうですが、今回は牛肉、鶏肉、羊肉からの三択になりました。

グループリーグ初戦で日本代表に敗れたドイツ代表は今回、チーム宿舎の食事会場で、ソーセージを提供しません。ドイツ国内では1000種類を超えるソーセージがあると言われるほどの名物料理です。
今大会は、観客向けのビールの販売も制限され、ドイツ料理の代名詞とも言えるソーセージもなし。
優勝4度を誇る強豪国にとっては、ややアウェー感の強い戦いになっているのかもしれません。

同じくE組のスペインでは、スペイン名産の生ハム「ハモン・セラーノ」がありません。ハモン・セラーノは、イタリアの「プロシュート・ディ・パルマ」、中国の「金華ハム」と並ぶ世界三大ハムの一つと称されますが、塩味の利いたあの柔らかな食感が、チーム宿舎では味わえません。
日本でも有名な豚の品種「イベリコ豚」を使った料理もなく、調理されるのは鶏肉や牛肉、ガチョウなどだそうです。

日本のお隣、韓国代表も、用意しているのは牛肉や鶏肉、魚です。豚肉は調達できませんので、焼いた豚バラ肉をサンチュで巻いて食べる「サムギョプサル」は大会中、選手に提供されません。

https://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/worldcup/20221125-OYT1T50075/