5日目の取組(逸ノ城戦)から、貴景勝の背中に赤黒い「○」のかたちがみえるようになった。いわゆる「吸玉(すいだま)」「カッピング」といわれる療法の跡だ。背中などへ真空状態にしたガラスのカップを吸着させ、毛細血管に滞る血行の促進、筋肉痛の改善などが見込めるという。その跡は日を追うごとに多くなり、いまでは背中一面に残っている。

「力士規定」には「力士は体を清潔に保たなければならない。伸びた爪や、刺青(いれずみ)、過度な髭(ひげ)などは禁止」としている。もちろん、体のケアの痕跡に問題はない。だが、長年力士に吸玉療法を施している60代のトレーナーは「画面に大きく映ってしまう本場所中にはあまり使えないのが現状。使っても吸引圧をかなり抑える」と、見た目に気を使うという。それでも、体調を保つため、貴景勝は見栄えなどにこだわっていられないのだろう。