別れてからも、時折貴方のことを思い出します。つい先日、知らない小道を一つ見つけました。そこでは花々が咲き誇り、辺り一帯が薄紅色に染まっているのです。そこからは花火を見ることも出来ます。近くには屋台もあって…お時間がある時に、ぜひ貴方と一緒に散策してみたいと思っております。
今の貴方はきっと大事を成すために、至る所を駆けまわっていることでしょう。日々目標に向かって前進し、着実に新たな一歩を踏み出している…そうすることで、目標を成し遂げているのですね。
世の中には、貴方にしかできないことがあるはずです。私も同じように、自分の立場に立って、私のできることを一つ一つ全うしています。
ですが、あまりご無理をなさらずに、ご自身とパイモンさんをしっかりと労わってください。
それから、一つお願いがございます…
身勝手かもしれませんが、今日だけは…貴方に会いたいのです。
もしよろしければ、今宵、櫻の下でお会い出来ませんか。この時期に見られる月明かりは、とても美しいものなんですよ…貴方と共に見られることを、心待ちにしております。

貴方と知り合うまで、誕生日には毎年何人ものお客様と必ずお会いし、贈り物を受け取っていました。それに対して、私は最大限の礼儀を持って接してきました。ですがお恥ずかしい話、いささか心が疲れてしまったのです。この日を特別だとは思えず、いつもと同じで…まるで池の水のように静止していました。
ただ、今の私はそう思いません。貴方と出会ってからは、貴方の聞かせてくれたお話が私の世界をずっとずっと広げてくれたのです。郊外の草や花、遥か彼方にある国…貴方はいつも、私が憧れるような物語を届けてくれます。今日を境に、私は歳を一つ重ねます。ですが、ただ歳を重ねるのではなく、私自身が周りの人に温もりを与え、光を照らす存在となれるよう成長をしたいのです。
貴方との語らいは、どんなに他愛のないことでも興味深いものになります…これは、貴方にしかできないことかもしれません。もう一度、月明かりの下でお会いできますでしょうか。