0001それでも動く名無し
2022/12/02(金) 07:21:45.13ID:4yvKciYT0ロスタイムに目の前で上げられたセンタリングから頭で押し込まれ失点した
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「試合終了」のホイッスル
無言で帰り始める選手達の中、昨年から日本代表に初招集された森保は独りベンチで泣いていた
サンフレッチェ広島で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の日本代表で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」森保は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、森保ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」森保は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、森保はふと気付いた
「あれ・・・？お客さんがいる・・・？」
ベンチから飛び出した森保が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのように侍JAPANの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする森保は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
GK権田
DF谷口 吉田 板倉 長友
MF田中 守田 鎌田 久保 伊東
FW 前田
監督 森保一
暫時、唖然としていた森保だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ！」
メモを手に、グラウンドへ全力疾走する森保、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
翌日、ベンチで冷たくなっているハヴァーツが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った
