あの人は今  元日本代表 久保さん(46歳)

2022年、ワールドカップ。 それをテレビで見つめる男がいた。
18歳で将来を嘱望され日本代表入りした、久保さんだ。
「あの頃は若かったですね(笑)」若き日を回想する久保は、どこか寂しげだ。
「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。ワールドカップで、俺がゴールして活躍する夢を」
今はコーヒー店を営む傍ら、地元の少年サッカーのコーチを勤めている。
暖簾の屋号の文字は元ジーコ監督の手によるものだ。
「いらっしゃい」。光市駅*2東口から歩いて3分。
「ドラゴンカフェ」のえび茶色の暖簾をくぐって店内に入ると白いタオルを
頭に巻いた久保さんの元気な声に迎えられた。
「去年の4月にオープンしました。暖簾の『ドラゴン』という文字はジーコさんに書いて
いただいたものだし、開店に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった。
おかげで、県外から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」
藤浪さんは本当に嬉しそうに、僕たちに語ってくれた。
とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。
「コーヒー好きは飛行機に乗って本場・大阪まで食べ歩きに出かける時代でしょ。
ボクが作るコーヒーは塩がベースなのが特徴だから関東人にはモノ足りないようなんです。
それで怒られちゃったこともあるけどそれも修業のうち。我慢、我慢です」
かつてのライバルで現ドジャース所属*4の大谷について尋ねると…
「知ってます?23歳までは僕の方が(ゴール数)上だったんですよ?」と、おどけ
「俺も怪我さえ無ければって…歯がゆいですけど」
「今はもう現役に未練はありません。今度はこの、コーヒーで日本一になれるよう、
がんばるだけです!」