映画は「作家の芸能」であり「芸術」 コンビニの棚に並ぶ商品であってはならない|井筒和幸の「怒怒哀楽」劇場(日刊ゲンダイDIGTAL)

今年、つまらない映画があまりに多いし、旧作を片っ端からDVDで見直す年だった。
まともな戦争モノが見たくなってR・バートンと若きC・イーストウッドの「荒鷲の要塞」(68年)も見た。ナチスをやっつけまくる痛快作で時を忘れた。映画は時を忘れるものだ。

「ドライブ・マイ・カー」(2021年)は暇つぶしにもならない拷問だった。口直しに見たのはアル・パチーノの「スカーフェイス」(1984年)。
フィルムノワールの絶品だ。ついでにモノクロの仏映画、「現金に手を出すな」(55年)もギャングのはかなさと愚かさが詰まっていた。