岡田氏の考えは対極にある。大前提は「1軍は勝たないといけない」。語弊を恐れずに言えば選手は「駒」。指揮官はチームの勝利のために選手を動かす、という考え方だ。

 監督にはそれぞれの考えがあるため、善しあしは別として、方針が変わればチームも変わる。岡田氏は今の阪神に「緩さを感じる」と話してきた。全員が目指す勝利のために、まずはチーム内に変化を求めるはずだ。

 ベンチで笑っている選手がテレビ画面に映ると、「試合に勝ったら、なんぼでも笑ったらええよ。でも、試合中に笑う必要はない」と言った。佐藤輝がユニホームの第1ボタンを留めずにプレーしていることには「ユニホームは戦闘服やのになあ。先輩も留めてるのに、誰も何も言わへんのかな」。わずかな部分からもチーム状況を推察していた。

 本塁打が出た後、ベンチ前で選手に掛けられた虎メダルもなくなるのではないか。「選手にメダルを掛ける時間があれば、俺は次のことを考えるな」。チーム内の状況を確認してからになるが、同じ方向を向いて戦うために改革に着手していくだろう。

 指揮官としての考え方は、現場を離れてからも一切ぶれていない。オリックスの監督だった2010年。開幕戦でスタメン表に名前を記入後、「4番・DH」のカブレラが「DHではなく、守備に就きたい」と言い出した。すると、先発外しを即決。誰であろうとチームの和を乱す言動は許さない。