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スペイン戦の劇的勝利から一夜明けた2日、練習は完全オフで森保監督1人が囲み会見。その表情は明らかに睡眠不足だったが、1時間にわたる質疑応答に応じた。今大会の采配が話題に上ると、「秘策なんてものではないんです。大胆采配? 私にはできません」と謙遜しつつ、プロ野球の采配にヒントを得たことを初めて明かした。

「野球の投手起用です。先発、中継ぎ、そして最後だけカタカナになってしまいますが(苦笑)ストッパーがありますよね。選手たちをこの3通りに当てはめた」。公言してきた「26人の総力戦」は決してきれい事ではなく、前半は最悪でも1点差で折り返し、後半から攻撃のカードを切り、逆転したら逃げ切り策を打つ。長崎生まれで巨人ファンだった父の影響から、自身も野球少年だった経験が生きた。

中でも当時からのヒーローで、指揮官としても最も影響を受けたのが、日本代表を率いて世界一にも輝いている巨人・原監督だ。コロナ禍で代表強化がままならない2020年3月には、同監督の著書『原点』を通販で購入。「うまい選手はいらない、強い選手がほしい」という一節には「心の底から腑に落ちましたね」と感嘆した。

今年5月に都内のフランス料理店で偶然の初対面を果たし、「強烈に憧れていた方でしたから」と感激。10歳年上の名将の食事が終わるまで、レジ付近で直立不動で出待ちをして挨拶した。7月には東京ドームを訪れ、巨人の試合前練習中に原監督と歓談。「異業種ですけど、(09年)WBCで世界一になられている。学ぶべきことばかり。指導者の先輩と思わせてもらっています」と刺激を受けてきた。

森保監督も「堅守速攻」を旗印に就任から4年間、得意の先行逃げ切り戦術を磨いてきたが、W杯本大会では強豪相手に先制される展開も覚悟が必要だ。試合途中に点を取るため投入する〝中継ぎ〟役として、多彩な攻撃のコマを用意。その狙いが見事にハマったのがドイツ戦、スペイン戦ともに出場早々に同点ゴールを決めた堂安だ。