「自分自身の力では抑えられない。薬でも何でもすがっていきたい」

 今春、わいせつ誘拐罪などで実刑を言い渡された20代の男は、判決後、拘置所で記者にこう打ち明けた。男は女児にわいせつな行為をし、カメラで裸を撮影していた。判決では、裁判長から「性犯罪はカウンセリングだけでは難しい面もある。薬物療法という手段もあるから、ぜひ立ち直って」と説諭を受けた。法曹界でも、この治療法の認知度は高まってきている。

 「生まれたことを呪ったこともある」「逮捕されてほっとした」…。記者が面会し、手紙のやりとりを重ねた性加害者の多くが、自分では抑えきれない性衝動に悩んでいるように見えた。実際に、記者に「ホルモン剤治療を受けていい」という加害者は複数いた。

 倫理と犯罪抑止。そのはざまで、性加害者とともに医師も揺れる。