「トイレの個室って、狭いっすね」
真っ赤になった耳元へ吹き込むと、目の前の肩が跳ね上がった。先程から口元を手のひらで覆っているようで、何か言い返すこともなく、ただ苦しげに呻くだけだった。

「ほら、もっと締めないとイけないから。来ちゃいますよ…人が」
“誰か”を想像したのか? 背中がしなったと同時に強く締めつけられ、思わず僕の息も上がる。
うっせんじゃボケ、と罵倒が返ってくるものだと想像していたが、くぐもった声が漏れ出るだけだった。
体を縮こませて、与えられる快楽に必死で耐えている。満たされる征服欲が快感を高めた。

「先生でしたっけ…こんなことしてるってバレたら、もう先生なんて名乗れなくなっちゃいますね」
壁越しから届いた聞き慣れた声が、背徳感をまた煽った。