法務省は9日、名古屋刑務所(愛知県みよし市)の30~20代の男性刑務官22人が、男性受刑者3人に対して繰り返し暴力を振るっていた疑いがあると発表した。斎藤健法相が臨時で記者会見し、「深刻な事態だと重く受け止めている。調査を進め、厳正に対処する」と述べた。

 斎藤法相は冒頭、「被害を受けた受刑者の方に心からおわび申し上げます」と陳謝した。同刑務所では過去に刑務官による暴行死事件が相次いでおり、「再び同じ刑務所で不祥事が起きたことは誠に遺憾だ」とも述べた。
 同省によると、刑務官22人は2021年11月~今年8月下旬、収容棟でそれぞれ、40~60代の受刑者3人の顔や手をたたいたり、アルコールスプレーを顔に噴射したりしたほか、尻をサンダルでたたくなどした疑いがあるという。食器を投げ入れる行為もあったとされる。
 8月23日、60代の男性受刑者が左目付近をけがしていたことから、理由を尋ねたところ、「刑務官に暴力を振るわれた」と説明。食事を差し入れる小窓から胸ぐらをつかまれて負傷していた。その後の調査で、計22人が関与していた疑いが判明した。看守部長1人を含め30代が5人、20代が17人で、大半が採用3年未満という。
 同省の調査に対し、ほとんどが暴力行為を認め、理由について「指示に従わず、大声を発したり、要求を繰り返したりしたため行為に及んだ」などと説明している。

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