手取り9万8000円では「暮らせない」 図書館司書が待遇求めて署名活動…専門性評価されず、7割超が「非常勤職員」の現実

「私は最低賃金+40円・手取り9万8千円で働く非正規図書館員です。図書館の今を知り、未来のために署名をいただけませんか?」

ある地方の公立図書館で働く20代女性がネットで署名を募り、注目を集めている。ネット署名は8月にスタートしてじわじわと広がり、賛同者はまもなく5万人に到達しようとしている。

女性が訴えているのは、待遇の改善だ。ある公立図書館で会計年度任用職員(1年ごとに採用される非正規職員)として働いているが、1カ月の手取りは9万8000円で「一人暮らしはとてもできない」という。

日本図書館協会の統計によると、図書館で働く非正規雇用職員は年々増え続け、現在は7割を超えている。なぜ図書館の非正規職員は増え続けているのか。また、非正規職員が増えることによって起きる「未来」とは?  (弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

●食パンにゆで卵を挟んで…

「いろいろなものを我慢しています。本を読むのが好きで、本を買いたいと思っても、今月は無理だと諦めたり。本代を捻出するために、服代や食事代を削ったりすることもあります」

こう話すのは、ネット署名をはじめた滝本アサさん(仮名)だ。大学で図書館司書の資格を取り、4年前から地元の公立図書館で働き始めた。当初は非常勤職員での雇用だったが、2年目からは会計年度任用職員制度が導入されて、切り替わった。

現在、1日7時間、月18日間働いている。手取りは「最低賃金+40円」の時給で、1カ月9万8000円。実家暮らしでなければ、生活するのも厳しい金額だ。昇給もなく、将来手取りが増える見込みはない。

職場には、滝本さんと同じく会計年度任用職員の女性たちが働いている。滝本さん以外は結婚している女性がほとんどで、世帯収入は夫がメインという人たちだ。図書館の仕事だけでは経済的な自立が難しく、若い人が入っても辞めていくという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/83cec28e4a1113e09bd6dcc99c6e8f87ba46fe40
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