代打のときに、俺は例の選手を球団に見せることにした。
さすがに落ち着きを取り戻していた球団は
俺が代打の切り札があるといったら是非見せて欲しいと言って来たのでちょうどチャンスがあるときに、見せることになった。
俺が中村ノリをコールした時点で、すでに泣き始める球団幹部。
「これも供養になりますから、是非見てあげてください」と中村ノリをセットし、打席に出した。
ヴーーーという音とともに、真っ暗な豚が10秒ほど呻く。
あれ?交渉に失敗していたのか?と思った瞬間、真っ暗な中に
突然中村ノリの姿が浮かび上がり、喋り始めた。
あれ、バッセンで取ったはずなんだがこんなに黒かったか?
「僕を育ててくれた近鉄、中日、 それに横浜のみんな、僕が死んで悲しんでるかもしれませんが、 どうか悲しまないでください。
僕はズヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアア××(落合の名前)、 俺引退しじゃっヴァアアアアアアア アアアアアア引退したくない! 引退したくなズヴァアアアアアアアないよおおおおヴヴァアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアイイイイイッッッッ」
背筋が凍った。
最後の方は雑音でほとんど聞き取れなかったが、Nの台詞は明らかに撮影時と違う 断末魔の叫びのような言葉に変わり、
最後Nが喋り終わるときに スタジアムの端から何かがNの腕を掴んで引っ張って退場させられるのがはっきりと見えた。
翌日、中村ノリを地元の球団に持っていったら、契約をお願いしますという前にオーナーがノリの顔を見るや否や「あ、それはうちでは無理です」と。
代わりに、ここなら契約してくれるという場所を教えてもらい、行ったがそこでも「えらいとんでもないものを持ってきたね」と言われた。
そこの監督(霊媒師?)によると、ノリはオリジナルグッズの作成に手を出した時点で
完全に地獄に引っ張り込まれており、何で半年永らえたのかわからない、本来ならその直後に自由契約にあって死んでたはずだと言われた。