>>500
おそらくラジオだろうが声が聞こえた。
その光景が子ども心にもわかるくらい異常な光景だったので、心臓がとまりそうになったのだが、ラジオが動いてることに気づいてコンセントを見てみると、なんと普段と同じぐるぐる巻きにされてゴムでまとめられ、ラジオの上に置かれたままだった。
どう考えても異常な状況で、母ちゃんも顔を青白く照らされたままじっと動かない。
怖くなって、このまま寝たフリをしようと思いゆっくりと寝返りをうって、さらに驚いた。
横で寝てた弟がこちらをじっと見てたのだ。
いつから目を覚ましてたのか判らないが、急に目が合ったのでまたも心臓がとまりそうになった。
すぐに弟も異常だということに気づいたのは、弟がこちらをじっと見つめたまま瞬きもせず、無表情であったこと。
そして何より、俺と弟の間にあったお母ちゃんの布団のほうに弟が移動していたことであった。
俺はあまりにも怖くなって、布団を頭からかぶり目を瞑った。
汗も大量にでてきて、震えながらはやく寝て意識をなくしたいと思ったが、母ちゃんと弟が布団をあけたらどうしようとか、そういう怖い考えが次々と頭に浮かんできた…。
そうこうしているうちにいつのまにか俺は寝てしまったらしく、朝目を覚ますと部屋はいつもの光景だった。
弟はいつもの弟の布団で寝ていて、母ちゃんはすでに起きていて飯の支度をしていた。
風邪をひくといつも怖い夢を見る、今回もそれだろうきっと夢だったんだと自分に言い聞かせて、いつものように起床して学校にいく準備をした。
弟も起きてきて3人で朝の食事をしている最中、まだやはり昨夜の出来事が気になって、「昨日夜あのラジカセ動いてたねw」と冗談っぽくいってみた。
当然『何を言っている、そんな訳ないでしょ』と返されるのを期待していたのだが、「うん聞いてたからね」と、母ちゃんが自然にそう答えた。
しかも、「ねえ?」と母ちゃんが弟にきくと、弟も「うん」と頷いた。
俺はあまりにもショックで、昨夜のことをもう一度思い出したりして頭がオーバーヒートしそうになって、「・・・そうなんだw」と答えるので精一杯だった。
そのあと俺はさっさと飯を食って、逃げるようにして学校に行った。
今思い出しても異常な体験だったが、その後は何も変哲のない日常だったので俺も気にしなくなった。
でも、俺が今までで体験した唯一の怖い話。