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 母方の出身地であるサン・セベリーノ村では今年3月、W杯に先駆け、村議会がメッシに名誉村民権を授けることを全会一致で決定。

自治体ルールで“メッシをイタリア人化”しちゃった
 父方のレカナーティ町に至っては、先立つこと3年前、2019年の町議会選挙の際、当時のフランチェスコ・フィオルドモ町長が「メッシには立派なレカナーティ町の在外町民資格がある」と首長判断を下した。同町の戸籍簿登録にもとづき、在外投票権を当時メッシが住んでいたバルセロナ宛に送付する、というイタリア内務省も仰天の荒業を敢行。

 レカナーティ町役場は、自治体ルールで“メッシをイタリア人化”してしまったのだ。

 メッシは05年にスペイン・パスポートを取得済で、これとボスマン判決に伴うEU市民法の適用だと、町長は自信満々だったが、在外投票権付与の法的根拠とするのは流石に無理がある。本人や中央省庁が一切関与しておらず、下手するとイタリア最高裁かEU裁判所レベルの面倒な司法手続きになりかねないため、2022年現在、投票権の実質的な法的効力は発生していない。

 結局、リーグ戦大詰めの時期だったこともあり、バルセロナから投票用紙は届かなかった。

 それでも、レカナーティとサン・セベリーノ、2つの小さな田舎自治体は、カタールW杯でのアルゼンチン優勝とメッシの悲願成就で盛り上がった。世界を制した村出身者の末裔がいつか凱旋してくれることを夢見ている。

「アルゼンチン人は“南米のイタリア人”だ」
 南米へのイタリア移民は、1800年代中盤から1900年代中盤にかけ隆盛を極めた。現在、アルゼンチンの総人口約4600万人のうち、半数を超える約2500万人がイタリア系国民とされている。

 史上最年少でW杯優勝監督となった指揮官リオネル・スカローニの祖先も、実はメッシと同じマルケ州出身。イタリアのパスポートを保有する監督は、15年に現役引退するまでラツィオやアタランタのいぶし銀DFだった。

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https://number.bunshun.jp/articles/-/855881