大人に対して、叩く、殴る、蹴る等の暴力を振るうことは、人権の観点から当然許されないことであり、
法的に禁止されるべきことを説明するために科学的根拠(エビデンス)は必要とされません。
子どもに対する同様の暴力も、人権の観点から当然許されないことであり、法的に禁止されるべきことを説明するために科学的根拠(エビデンス)は必要とされません。
しかし、体罰等の法的禁止の必要性について多くの方々に理解いただき、発信していただくためには、科学的根拠(エビデンス)の情報は有益です。
科学的根拠は既に多く存在していますが、その中の一例についてまとめてみました。
https://www.kodomosukoyaka.net/research/201709-evidence.html

体罰の弊害についての科学的根拠(エビデンス)

・約2000名の子どもの0歳から6歳までを追跡調査した結果、体罰を受けている子どもは、操作性運動(ひとりで靴をはく等)の発達および言語・社会性の発達において、
はっきりと発達が遅れており、体罰の使用は、子どもの発達にとってマイナス要因であると結論しています。

・日本の厚生労働省の調査データ約2万9000人分を使い、3歳半の時にお尻をたたくなどの体罰の有無が、5歳半に成長した時の行動にどう影響しているか分析した結果、
3歳半の時に保護者から体罰を受けていた子どもは、全く受けていなかった子どもに比べ、5歳半の時に「落ち着いて話を聞けない」という行動のリスクが約1.6倍、
「約束を守れない」という行動のリスクが約1.5倍になるなど、問題行動のリスクが高く、体罰が頻繁に行われるほど、リスクは高くなっていました。
「1つのことに集中できない」「我慢ができない」「感情をうまく表せない」「集団で行動できない」という行動のリスクも高まるとされています。

・16万927名の子どもたちの過去50年間の75の研究を使用したメタ分析は、お尻をたたくという軽い体罰も下記の13の有害な結果と関連することを明らかにしました。
低い規範の内面化、攻撃性、反社会的行動、外在化問題行動、内在化問題行動、心の健康問題、否定的な親子関係、認知能力障害、
低い自己肯定感、親からの身体的虐待のリスク、大人になってからの反社会的行動、大人になってからの心の健康問題、大人になってからの叩くことへの肯定的な態度です。

・「体罰は、子ども、大人、そして社会にとって有害であるという証拠は圧倒的(な数)です。
250以上の研究で、体罰と広範囲にわたる否定的な結果との関連性が論証される一方、体罰のメリットを立証している研究はありません。
体罰は、子どもの身体を直接的に害する原因であり、子どもたちの精神的、身体的健康と教育に、短期的にも長期的にも負の影響を与えます。
体罰は、決して子どもたちに振る舞い方を教えるものではなく、道徳観念の内面化を妨げ、反社会的行為を増長し、家族関係を破壊します。
子どもたちの攻撃性を高め、大人になってからも暴力に関わり続ける傾向を増加させます。
体罰は、社会の中の他の形態の暴力と密接に関わっており、体罰を終わらせることは、パートナー間の暴力を含めた他の形態の暴力と闘う上で必要不可欠です。」

・頬への平手打ちやベルト、杖などで尻を叩くなどの体罰を年12回以上かつ3年以上、4~15才の間に受けた子どもたちは、
そうでない子どもたちと比べて、感情や理性などをつかさどる右前頭前野内側部(10野)の容積が平均19.1%、
実行機能と関係がある右前帯状回(24野)の容積が16.9%、物事を認知する働きなどがある左前頭前野背外側部(9野)の容積が14.5%減少していました。