だしは半分、デザートも減らして…。長引く物価高騰の学校給食への影響を最小限にとどめようと、自治体が値上げ分の穴埋めを続けるなか、子どもたちの栄養確保にぎりぎりの努力を続ける現場で「もう限界」と悲鳴が上がっている。

福岡県久留米市や佐賀市はやむなく来年度から値上げする方針を決めた。「食材費を節約すれば、国の栄養基準も満たせない」。いっそ、公費負担による給食費の無償化を求める声もある。

「努力を重ねてきたけど、今年からは献立もどうしようもない状態です」。栄養士は、苦しい表情を浮かべた。

同市の給食費は小学校4100円、中学校4600円。ともに県内平均より約200~400円安く設定してきた。納品量が多いため、比較的安価で食材を購入できたという。

しかし、県学校給食会が卸す食材の価格は3年前に比べ油は7割、砂糖は1割、大豆は3割上昇。今年7月以降、多くの自治体は国の臨時交付金を活用し、高騰分を穴埋めして従来通りの給食を提供している。ただ交付金は本年度で終了する見込みだ。

みそ汁のだし用いりこを半分にしたり、ニンジンをより安いもやしに変更したり、デザートは「イチゴ1個」にしたり。市内の学校給食現場は節約や工夫に余念がない。

一方で「食材費を抑えれば、カロリーなどが国基準に届かない場合もある」と市の担当者は頭を抱える。今年5月、中学校で提供した給食の摂取カロリーは、国が昨年改定したエネルギー、脂質、鉄分など10項目の摂取栄養基準のうち、わずか3項目しか基準を達成できなかった。

市は11月、来年度から小学校で月額500円、中学校で同千円の値上げを決定。値上げの半額分は市が負担し、家計への影響を軽減したい考えだ。

同様に佐賀市教育委員会も20日、有識者らでつくる検討委員会の答申通り、来年度から小中学校の給食費を1食当たり20~30円値上げすると決めた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4763976f1fd01d378f0da08236a85854643fd539