戦力的には大幅ダウンも長期的視野で見れば…。FAでのソフトバンク移籍で近藤健介外野手(29)を失った日本ハム。この主力流出によりチームは意気消沈していると思われがちだが、球団関係者に聞くと意外にも球団内には悲観ムードはそれほどない。むしろ来季に向け「チームには近藤の移籍がプラスに働く可能性の方が高い」という声があるという。

 背景にはチームの外野手事情や金銭的な問題などが複雑に絡み合っている。確かにプロ入り後の生涯打率が3割超え(通算3割7厘)の強打者の穴埋めは容易ではない。だが、近藤がチームに残留していれば来季の日本ハム外野陣は近藤に加え今季首位打者に輝いた松本剛を含めると残り「1枠」しか競争できるポジションがなくなる。

 そうなれば、今季頭角を現し始めた今川や万波、さらには故障で今季不本意なシーズンを送った五十幡ら近い将来チームの主力を担う若手外野手の出場機会が激減する恐れがあった。だが、近藤の移籍によりこの問題は杞憂に終わり、日本ハムは来季以降も若手に競争を促しながら育成を行える。これは長い目で見ればチームにとって大きい。

 前出関係者もチーム内の雰囲気をこう力説する。

「今季は新庄監督1年目で選手を試す方針もあり、チームは勝敗度外視でしたが、来季は本気で新球場(エスコンフィールド北海道)を味方に上位進出を狙っています。コンちゃん(近藤)の流出は痛いですが、来季は投手と外野手の二刀流に挑戦するルーキーの矢沢(日体大)やメジャー経験のある加藤豪らも加入しましたからね。今季の剛(松本)のようにコンちゃんの抜けた穴を埋める新たなスター選手が出現する土壌もできつつある。決して強がりではなく首脳陣、選手はみなプラス思考ですから。(来季は)期待していいですよ」