WHO「ダウン症で」


ダウン症
かつてはMongolismと呼ばれ、黄色人種に特有のものとの偏見が広がった。これはヨーロッパにおいて白人の子どもであるにもかかわらず、当時コーカソイドより劣っていると考えられていたモンゴロイドの遺伝子を持って出生したと発見者のジョン・ラングドン・ダウン医師が考えてつけた名前のためであった。
ダウンは当初「目尻が上がっていてまぶたの肉が厚い、鼻が低い、頬がまるい、あごが未発達、体は小柄、髪の毛はウェーブではなくて直毛で薄い」という特徴を捉えて「Mongolism(蒙古人症)」または「mongolian idiocy(蒙古痴呆症)」と称し、発生時障害により人種的に劣ったアジア人のレベルで発育が止まったために生じると侮蔑的に説明していた。しかしダウンによるこの人種差別的な理論は、アジア人にもダウン症がみられることからすぐに破綻をきたした。

1965年ごろにモンゴル人民共和国の代表がWHOの事務局長に対して、非公式に病名としての「mongolism」が不快であるとして将来的に使用しないように要請した。
1965年、WHOは発見者のダウンにちなんで「Down syndrome(ダウン症候群)」を正式な名称とすることが決定した。