日テレNEWS2022年12月30日 13:00
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様々な事情で子宮のない女性は日本に約6万人いるとされている。そういった女性の妊娠・出産を可能にする「子宮移植」が臨床研究として2023年にも、国内で行われる見込みだ。これまでの”生命維持”とは異なる目的の臓器移植。実現に向けた課題、当事者家族の期待と不安とは。

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■子宮移植とは

子宮移植とは、健康な女性の子宮を子宮がない女性に移植すること。

慶応大学の研究チームが準備を進めているのは、母親や姉妹など親族が子宮を提供し、子宮移植後、子宮がない女性の卵子とパートナーの男性の精子との受精卵を入れ、妊娠・出産を目指すものだ。

■子宮がない人は6万人

現在、国内の20~39歳の女性で、生まれつき子宮や膣のない「ロキタンスキー症候群」の人は約3500人いるとされている。また、同じ年代でガンなどを理由に子宮を摘出する人は年間約2500人。こういった人をあわせると現在、約6万人が子宮がない状態だという。

■子宮移植の現状

子宮移植手術はサウジアラビアで2000年に初めて行われたものの出産には至らず。その後、2014年、スウェーデンで初の出産例が報告され、アメリカ、中国、ドイツなどでも実施された。

ことし10月までに、世界で行われた子宮移植手術は98例、実際に子どもが産まれたのは52例だという。

国内での子宮移植について、日本医学会の委員会は2019年から医学的、倫理的、法的、社会的観点から検討を重ね、2021年に生体からの子宮移植を少数に限定して臨床研究を目的として実施することを認める報告書を公表した。

そして準備を進めてきた慶応大学の木須伊織助教らの研究チームは、安全性などを調べる臨床研究として、子宮の移植手術を行えるよう、2022年11月、学内の倫理委員会に申請。2023年1月の倫理委員会で実施が認められれば、国内で初めて子宮移植手術が可能となる。

■実際に移植をしたらどうなる?

慶応大学の研究チームによると、子宮移植の臨床研究の詳細はこうだ。