『著名YouTuberは減らし、TikTokが優勢』

 ほかにも、古参YouTuberの解散や活動休止が相次いでいることをご存知だろうか。

 8月には「オワコンボーイズ」に改名した元禁断ボーイズが活動を休止し、9月には「アバンティーズ」が無期限活動休止に。最近では、はなおさんとでんがんさんによるコンビYouTuber「はなおでんがん」が解散を発表、元バンドマンのヴァンビさんと元アイドルのゆんさんによるYouTuberコンビ「ヴァンゆん」も活動休止を発表している。

 多くは新しい活動をしたい、次のステージに行きたいなどを理由としているが、YouTuberをめぐる環境の変化も影響している可能性があるだろう。

 ユーチュラの「2022年ユーチューブチャンネル登録者数増加ランキングトップ30」を見ると、1000万人を増やした1位の「さがわ」などTikTok発や、2位以下の「Byashi TV」、「ISSEI/いっせい」「Junya.じゅんや」「M2DK.マツダ家の日常」「Saito さいとう」など、すべてショート動画が売りだったり、TikTokで多くのフォロワーを抱えたりするYouTuberが大きく増やしている。

 一方、同じくユーチュラの「2022年YouTubeチャンネル登録者数減少ランキングトップ20」によると、6位に「ヴァンゆんチャンネル【VAMYUN】」、12位「アバンティーズ」、20位に「ラファエル Raphael」がランクイン。

 そのほか、7位「Yuka Kinoshita木下ゆうか」、10位「水溜りボンドの日常」、17位「ねおチャンネル」、20位「しばなんチャンネル」「しばなんと一緒」など、著名YouTuberでもじりじりとチャンネル登録者数を減らしている状態だ。

『芸能人YouTuber増加やTikTokの躍進も影響』

 そもそもYouTubeの広告収入自体、第三四半期に1.9%減少している。

 これには、企業側の広告予算が緊縮傾向にあることだけでなく、TikTokの影響も大きいと考えられる。TikTokは2021年度世界一ダウンロードされたアプリであり、Z世代を中心にユーザー数も伸ばしている。そのため、限られた広告予算をYouTubeではなくTikTokにかける企業も現れている。

 また最近の傾向として、芸能人が多く参入するなど、YouTuberのプレイヤー数が増えたことも当然影響しているだろう。元々知名度がありファンも多い芸能人がライバルなのだから、苦戦を強いられるのも当然だ。

 今後も、専業YouTuberはYouTubeの広告収入だけでは苦しい状況が続きそうだ。ただし、熱心なファンがいるのであれば、ライブ配信で投げ銭を得る方法もある。また、ラファエルさんやヒカルさんのように、知名度を生かして別のビジネスをしたり、テレビなどでの活躍を増やしていくという方法もあるだろう。

 そもそもYouTube自体、規約を次々と変えたり、広告の収益率を下げたりするといった変更を何度も行っている。一つのサービスに生活すべてをかけるのではなく、あくまで知名度を高め、ファンを獲得する場としてうまく活用し、活動を広げていくのが良さそうだ。YouTubeをビジネスに活用されている方は参考にしていただければ幸いだ。
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