この男の馬の走り方ときたら、それはもうひどいものであり、まるで勝ち目のない位置取りをしてから、まあ勝てるだろうなどとつぶやいて、悠々と馬を飛ばして行くのである。
だから人には、あれはもう負ける気で走っているから駄目だ、などと言われて笑われるのだが、そんなことを言われても平気でいる。そしてその通り飛ばして来るのだから、この佑介という男は始末に悪いものだった。