「噛まれて頭蓋骨にヒビ」「隠れても無駄」…人喰いヒグマに襲われた男から学ぶ「絶対に守るべき鉄則」


死傷者が過去最多を更新
毎年のように悲劇は繰り返される。ヒグマが人間を襲う事件のことだ。

 ヒグマは、北海道やアメリカのアラスカ、ロシアの全域などに生息している。

 <ヒグマによる農業被害は増加傾向で、毎年のように死傷者も出ているが、国際的にみれば希少動物で、道内でも個体群の存続が危ぶまれる地域がある>(毎日新聞・2019年10月29日)のだという。また、<北海道内で2021年度に駆除や狩猟により捕殺されたヒグマが、北海道庁の統計が残る1962年度以降、初めて千頭を越え、1030頭台に上ることが分かった。農作物被害額は2億6200万円、死傷者数は14人で、いずれも最多となった>(北海道新聞・2022年12月21日)という。

 山に生息しているヒグマは警戒心が強く、本来であれば人間社会には寄り付かない動物だ。山の草木や木の実、昆虫を主食として、肉や魚を一度も口にしないで一生を過ごすクマも多い。

 しかし、近年のヒグマは、耕作を放棄された果樹園跡で実る果実や人間の残飯の美味しさを知ってしまった。徐々にではあるが、積極的に人間社会に出てきて食べ物を漁るようになっている。そこで人間と接触し、人間を襲うのだ。

最凶ヒグマ「OSO18」
 食肉目クマ科のヒグマは、日本に生息する陸棲哺乳類で最大の種だ。大きなオスになると体長2・5~3メートル、体重は400~500キログラムを超える。人を食う恐ろしい動物であるにもかかわらず、駆除、つまり殺処分をすると全国のクマ愛好家からは「殺処分すべきではない」「麻酔銃を使って山に返すべき」などという抗議が殺到する、行政としては厄介な動物だ。

 身体が大きすぎるために、麻酔銃を撃ち込んでも静かになるには数時間がかかる。また、山へ帰したところで人間の世界に美味しいものがあると知ったヒグマは、近い将来必ず人間社会に入って、たとえば生ゴミを漁りに来てしまう。

 最近では釧路管内標茶町(しべちゃちょう)オソツベツで、2019年から4年間にわたり、放牧中の牛65頭を襲ったヒグマ、通称「OSO18(オソ18)」が有名になった。

 ちなみに、「OSO」とは住所の「オソツベツ」から、「18」とは「幅18cmの大型の足跡」(NHK取材班によれば、実際は16cm)から由来する名前だ。OSO18による被害範囲は東京23区の3倍に及んでいるのだが、目撃されない上に罠にもかからない。北海道の農家にとって、いまも恐怖の日々は続いている。

 ロシアでは相当に広い範囲で出没することから、ロシア人はヒグマに対して大きな愛着を持っている。ロシアの代表的な世論調査会社であるVCIOMの調査によれば、ヒグマがロシアのシンボルと考える人はロシア人の62%にものぼる(2位はシベリアトラで、3位は国章に用いられている双頭のワシ)。ヒグマは世界で20万頭程度生息していると考えられており、その半数がロシアにいる。


https://news.yahoo.co.jp/articles/9e788b500f90782ab7772a6efa638fef8e77cc03