このエピソード狂おしいほど好き



中学高校時代はよく学校をサボった。すごくグレたわけではないが、無意味に学校をサボって街をブラブラして補導されたこともあった。どうしても嫌なことがあったとか、そういうわけでもないのに、高校は中退してしまった。

 ずっと甘やかしてきた本田の両親が「さすがにまずい」と思ったのか、本田をお寺に連れて行った。

 「お坊さんが、この子には、遊べんで死んでしもた子供の霊がまとわりついとる、言いよんですわ。
ちゃんとした有名なお寺だそうです。ほんで、その子供の霊が遊ぼう遊ぼう言うて、ほんで僕も遊び惚けてしもうて、学校をやめてしもたっちゅうわけですわ」

 そんなんで本田家の人々は納得したのか。

 「まあ偉いお坊さんがそない言うとんやからということで。ほんで一応は除霊言うんですかね。やってもろてしまいですわ」

 除霊して、それで本田少年は遊び惚けなくなったのだろうか。

 「除霊の効果いうのは分かりませんけど、親に対して、こんなお寺まで連れてこさして、心配してくれとんのやなーと。それまでは、ただ面倒くさいっちゅうか、うっとおしいっていう感情ばかりやったんですけど。よう見たら2人とも年もとってきよるし、もうあんまり心配かけたらアカンて思うようになって、もっぺん勉強して大検(大学入学資格検定)を受けたんです」