下積みから抜け出せず、当時面倒を見てくれた漫画家の故石ノ森章太郎さんの自宅でつい「もう役者をやめようと思います」と漏らしてしまったという。石ノ森さんから「何でだ?」と問われ、思わず「壁ですかね」と言ったら「生意気なこと言ってるんじゃねぇ」と怒られてしまった。さらに強烈な言葉をもらった。

 「おめぇみたいな無名な役者に壁があるか。いいか、壁っていうのは、売れたやつが作るんだよ。お前は売れてないんだから、壁なんかつくれるわけぇ」

 梅沢は「その言葉がなかったら、梅沢富美男は生まれてなかった」と当時を振り返った。