ちょうど1年前の正月に届いた年賀状に、記されていた。差出人は藤浪晋太郎。その意味は「物事に一度、失敗した者が非常な勢いで盛り返すこと」。すでに21年オフの時点でメジャー挑戦の決意を固めていた右腕。近年の低迷を正面から受け入れた上で、阪神ラストイヤーと位置づけた年へ臨む思いを4文字で表現したのだった。  「新たな夢に向かって勇往邁進(ゆうおうまいしん)します」

入団から3年連続2桁勝利など順風満帆に歩み始めたプロ野球人生は、極度の制球難に陥った5年目の17年以降に暗転。その後の艱難辛苦(かんなんしんく)の日々は想像を絶する。長い低迷に耐え忍んで「捲土重来」の志に至り、「勇往邁進」を期して海を渡る。