数ある旅の楽しみのなかで,車窓からの眺めというのもまた捨てがたい。そこに美しい自然が広がっていれば,ただただ目の保養になる。でも,ありふれた田舎や街並みを眺めているのも悪くない。そこに見かける,きっとこの先出会うこともなさそうな人々は,みなそれぞれにその人なりの喜びや悲しみとともに暮らしている。そう思うと,自分の悩み事もどこか遠くに感じられて,心がふっと軽くなる気がするのだ。