快勝の表現がふさわしい前夜の勝利に「実は封じ手の前に2筋の歩を突いているのが悪い手だったみたいで」と
省みることも忘れなかったが、終始笑顔で表情は柔らかい。タイトル通算100期はもちろん、14期ぶりの王将位奪還まであと2勝。
「14年前ですか。7年前の挑戦すらもずいぶん前のような感覚なので、なんだかずいぶん昔のような気がします」と感慨深く振り返る。

14年前といえば09年。深浦康市王位(当時)を相手に4勝3敗のフルセット勝利で防衛した3月は、第2回WBCで日本が連覇し、
国内が大いに沸いていた。決勝の韓国戦でイチロー(マリナーズ)が決勝打を放ったシーンは、羽生の記憶にも刻まれているという。
興味深いことに、06年の第1回大会優勝時も佐藤康光棋聖(当時)と第7局までもつれ込んだシリーズを制し、タイトルを守っている。

つまり、羽生の王将戦制覇とWBC日本優勝は連動率100%だ。そして今年はWBC開催年。日本は羽生とともに14年ぶりの頂点を狙う。
「日本代表、頑張ってほしいですね!」

侍ジャパンに声援を送った羽生。少年時代は野球中継を観戦するのが習慣で、友人たちと「草野球的な遊びはよくしました」と明かす。
広島カープの真っ赤な帽子をかぶって大会に出場していたのは有名な話。
特定球団のファンではないものの「WBCは地上波放送があるんですか?」と興味津々だ。